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江面旨美さんの
UMAMI BAGS

『本当の一品もの、UMAMI BAGS』

江面旨美(えづら・よしみ)さんは皮革に魅せられてバッグを作るようになった。なぜ革が好きなのかといえば、ほつれないから、と。確かに革は、布のように切っても切っても糸がほつれでてくるということがない。柔らかくても堅くても、皮の切り口はすぱっと裁断されたままである。素材からの情報を手をとおして脳がうけとり、脳が手に指令をだし、と、その途切れないキャッチボールの結果が手仕事といえるとしたら、手仕事の作り手と素材との相性は、とても大切だ。Feature 006では、革と相性のよい、江面旨美さんの仕事をご紹介する。

皮のアップ

新作から2点
『あ、UMAMI BAGだ!』

江面さんは年に一度、個展をする。そして一つのデザインに一点しか作らない。一つを作っている間に、新しいかたちのアイディアが次々と浮かんできてしまうからだという。これこそ真の一品ものだ。そんな状態なので江面さんの作るバッグが販売されるのは、個展のときだけだ。
ところが、そんなに少数しか作られていないのに、街で持っている人に出会うと、きっと“あ、UMAMI BAGだ!”とわかる。エルメスでも、グッチでも、ケリーでもない、正に、UMAMIブランドなのだ。江面さんの抱いたイメージと、素材の扱いと、手の技、この3つから生み出されたものがそこにある。形だけではなく、革の色、厚さ、光沢の具合、ふんわり作られている感じなど、いろいろな要素が入り交じって、全体としてのデザインになっている。こんなバッグを持つことは、手作り品を愛する人の特権であり、密かな喜びでもあるだろう。
     

『城のあるじは集中型』

個展のための制作に忙しいなか、UMAMI BAGSの秘密を探るべく工房見学。日野市にある自宅の一隅にある工房は、片側に作業台、片側に革専用ミシンが2台並んでいる。
天井には皮が丸まって整列している。反対側を見上げると個展を待つバッグの入った白い箱たち。作業台の前にはさまざまな道具がびっしり。針や糸やピンや鋲の入っている小箪笥。その横にはボール紙の型紙。限られたスペースが、無駄なく整然と収納に使われている。外注でもう少し数を作ろうとしたこともあるが、納得のゆく仕事をするには、一人で全てをやったほうがいい、ということになった、と言う工房のあるじ。これからも一品ものを作ってゆきたいと望む江面さんには、一人で創作に集中できるこの工房はまさに城である。

『さらっと利かせる隠し味は
伝統の技だった』


江面さんのバッグの魅力の秘密を考えてみると、あることに気づいた。それは、普通の革バッグでは使われていない手法があちこちに使われている。そのいくつかは伝統の技でもある、ということだ。

それらの手法の幾つかをご紹介しよう。

 

工房のようす
縫い目 ●ちくちくと縫う
藍染めの布を補強するため、白い木綿糸で縦横斜めにちくちく縫った「刺し子」。昔、野良着などを長もちさせるために女が考えだした知恵だ。革に「刺し子」をすると、縫い目が微妙なでこぼこを作り、光の反射を変える。そして、触感が変わる。
●密集した結び目
正式名を「相良(さがら)縫い」、もっぱらフレンチナッツと呼ばれている、ぼつぼつした結び目を密集させてゆく手法。江戸時代の袋もので多用された技である。革に表情と質感を与えている。
結び目
突起 ●印伝
鹿皮に型紙で漆の模様をつけたものを印伝と呼び、伝統工芸技法の一つである。昔は刀の柄を巻いたり、武具の装飾に用いられた。いまはもっぱらバッグ素材として使われている印伝を何気なく使いこなす。
●突起をだす
革でつくった細長い突起があちこちから飛び出る。まるで突然に、つるんとした皮から生き物のような突起物がぴゅんと飛び出して、ゆれる。
アプリケ
印伝 ●アプリケもどき
革に切れ目をいれ、そこに柔らかく盛り上がったアプリケをつける。蝶になるのを待つ幼虫が眠ってでもいるかのような、有機的な感触。

●竹篭
四角い底をつけたいときは竹篭職人を訪ね、注文のサイズで篭を編んでもらい、中に落とす。外からはそれと見えないところにこだわりがある。

・・・
という具合に、江面さんはバッグ制作のための豊富なボキャブラリーをもっている。伝統の素材や技もその一つだ。ただ、江面さんの手を通ると、全く新しい感覚で生み出されているところがいい。伝統は新しい味付けをされて、しっかり革袋のなかに入っている。

『初めての試みです』

専門店にも置かず、個展だけでやっている江面さんにお願いして、使いやすいトートバッグを9種類をhandmadejapan.comを通じて販売させていただくことになった。在庫はないので、ご注文を頂いてからの制作となるため、数カ月はお待ち頂くことになるが、ご理解ください。
ちなみに、これらのトートは、ニューヨーク五番街に8年前に出店したスペシャリティストアーTAKASHIMAYA NYで販売されたもの。この店は、ヨーロッパ、日本、アメリカの作り手たちから選りすぐった品だけを扱う方針を貫いており、インテリアとファッションにこだわりを極めたニューヨーカーたちに人気の店である。

印伝 どこへ行くにもパソコン同伴、という女性も 増えている昨今、このように丈夫で軽いバッ グに入れて持ち運べば安心だ。
定番トートにも長いものがすっぽり収まる。 底巾が10cmあるので、安定して運びたいもの にも最適。お花や書道のおけいこにも重宝しそう。
アプリケ

 

誠に恐縮ですが、トートバッグの販売は終了させていただきました。

 

 

 
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