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岡村美和さんの 型染の袋

 

「民芸」の発見者といわれる柳 宗悦は、型染の天才・芹澤けい介に寄せる文章のなかで、次のような文章を残している。"近代で吾々が喪ったものは数々あらうが、中でも際立って衰へたのは模様への本能である。最近の推移を見るとみじめな姿である。たがその中で唯一人光っているのは芹澤である。・・・" "模様を切り集める人は澤山あっても、模様の生める人、模様にこなせる人、模様を活かし切る人は絶えてない。・・・" "・・・渋好みは或る意味では色に匿かれる危険が多く、寧ろ誰でも選ぶ隠れ家である。派手で俗に落ちない色を生むのは並大抵のことではない。仕事があらはだけに誤魔化しがきかない。・・・"(柳宗悦全集14巻より抜粋)




 
柳 宗悦がこの文章を書いたのが昭和12年だから、その頃から、野暮になる恐れの強い模様は敬遠され、渋好みの色合いが好まれる傾向にあったのだろうか。華やかさがあり、かつ俗っぽくならない色を生み出すのは、並み大抵のことではない。現代もこの傾向は強く、ファッションでも黒が幅を利かし続け、漆器でも無地、焼物でも焼き締などの渋好みに人気がある。
そんななか、抑制のきいたシンプルな形や押さえた色遣いの良さを充分に承知したうえで、"模様と色彩"を目指している作り手がいる。
岡村美和さんは、熊本市の国際民芸館に勤めるかたわら、型染の研究と制作をマイペースで続けてきた。勤めを辞めたいまは、もっぱら染めの実験と制作を楽しんでいる。熊本の春が終わる頃、庭の深紅の肥後椿が散り、その花びらから煮出した色は、濃い灰色だった、と知らせてくれた。そんな身近な材料から思いもよらない色をもらって、自由な気持ちで美しい模様と色彩との出会いを楽しんでいる。
岡村さんの発表の場は日本民芸館館展であり、西部工芸展である。一般の目に触れることは少ない。あるいは、知人友人の注文で着尺や帯、タペストリー、服地などを作ってあげる、という具合で、ますますその作品は手元に残らない。


手作り品で伝える贈る気持

そこで、Feature009では、handmadejapan.comのために岡村さんに型染で作っていただいた祝いの袋とお悔やみの袋をご紹介する。
冠婚葬祭用の袋はあたりまえのものが文具店に並んでいるが、祝いのこころを包むときに、素っ気ない印刷ものでは物足りない。かといって、金銀の水引きが仰々しいものも使いたくない。はっきりとは意識していなくても、何となくそんな気分を感じていらっしゃる方は多いのではないだろうか。お悔やみもしかり。御仏前、御霊前の使い分けに迷ったことはないだろうか。仏様がクリスチャンのときはどうするんだろう、とか、悩みだせばきりがない。
そんなとき、優しい手触りの楮和紙に、程よい色合いで祝いのこころを伝える図柄が型染めされた祝い袋や、薄墨でしめやかなこころを伝えるお悔やみ用の袋をお勧めしたい。こんな時代だからこそ、贈る人の念いがさりげなく込められた手作りの品を使いたいと思う。


さらに、今回は、袋の作り方までご紹介する。大袈裟な道具もいらないし、場所もとらない、気軽に試してみよう、という気になれるから嬉しい。


 

<袋の作り方>

 材料と用具

  • 半紙大の和紙(楮紙など)
  • 図案を描くための紙
  • 渋紙あるいは型紙用洋紙
  • 顔料
  • 大豆少々
  • 摺込刷毛(小)数本
  • 彫刀またはカッター
  • ライトボックス
  • ミキサー
  • 濾し布
  • 小皿数枚

 

1:

図案を描く

 

2:

ライトボックスの上に図案と渋紙を重ね、渋紙に図案を写す
[注意点:渋紙は2〜3時間水に浸したあと自然乾燥させ、完全に縮ませた状態で使うのがよい]

 

3:

渋紙に写した図案をカッターで切りぬく [注意点:色数だけの型紙を別々に作ること]

 

4:

和紙(楮紙)を袋の大きさ41cmx26cmに切る[注意点:すぱっと美しい紙の切り口を得るために、プロは「肥後守」=ひごのかみ=熊本で作られるナイフを使う]

 

5:

切った和紙を決められたサイズに折る
[注意点:袋に仕上げたとき、見えるところに耳(切られていない紙のはしっこ)がくるようにすること。まず裁断側を4.5cm折り、残り半分を折り重ねる。折り返した上の部分12cm、下の部分10.5cm、袋部分18.5cm]

 

6:

一晩水に浸しておいた大豆をミキサーにかけ、晒布で濾し、呉汁(ごじる)を作る
(注意点:呉汁の濃さは、大豆と水が1:3の割合が適当)

 

7:

顔料を小皿にとり、呉汁を加えて染料を作る[注意点:各色の顔料はほんの少量で足る。呉汁は少しずつ加えながら適当な濃さにすること]

 

8: 和紙に型紙を置き、刷毛で染料を刷り込むように置いてゆく[注意点:刷毛を垂直に動かすようにすること]色の違う型紙を図案に従っておいてゆけば完成。

 










 

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