そもそも和本の始まりはいつなのか。先生の著書の抜粋から。「、、、日本最古の本は、7世紀初めの聖徳太子自筆になる巻子本の法華経義疎と言い伝えられている。その後、大和風に改良され種々の本が生まれた。、、、、平安時代における写経や絵巻物などは、欧州中世のさし絵と並んで日本の本の芸術ということができる。和本の形態は、奈良時代の巻子本から平安時代に入って、巻子本に折りをいれて折り本、その前後の表紙を連続させた旋風葉、紙を一枚ずつ中央から縦に二つ折りして折り目を表紙に糊づけした粘葉(でっちょう)、または胡蝶装などの册子が制作されるようになった。やがて木版印刷の発明により版本が製作され、江戸時代にはその全盛を極めた。そして、日本独特の和綴の方法が工夫され、大和綴、四つ目綴、康熈綴、亀甲綴、麻の葉綴、唐本などの種類を生んだ。また、料紙の大きさによって美濃本、半紙本、中本、小本、豆本がある。その他、庶民文化を支える諸文書として、大福帳、判取帳、糊入れ本、通帳などがあり、昭和初期までにわたって活用されたのである。」
そして洋書全盛時代がやってきて、今や、和装本は謡曲など伝統芸能の世界に残るばかり。商家の大福帳はコンピュータにかわり、墨色も黒々とした365枚の日めくりも、家庭から姿を消しました。 |
和装本を納めておく帙(ちつ)。
これも麻布をつかった手作りです |