ー画像:佐喜眞美術館パンフレットよりー
佐喜眞美術館と『21世紀の風』展
展覧会の会場となった佐喜眞(さきま)美術館(LINK)の成り立ちと建物について、まずお話しよう。佐喜眞美術館は那覇市内から車で30分。館長の佐喜眞道夫さんが、美術館を建てたいと米軍普天間基地と交渉し、1992年に返還を勝ち取り、その一角に建てたもの。「もの想う場」をつくりたいとの佐喜眞さんの強い意志があったことが伺われるのは、この建物が沖縄の終戦日といわれる6月23日をとって、この日の日没線にあわせて建てられていることだ。屋上の塀に穿たれた四角穴から6月23日の日没光がまっすぐに差し込む。高校生たちが作った沖縄戦戦没者と同数の236095個の石を積んだ「石の声」、その近くには18世紀ごろのものという沖縄独特の大きな亀甲墓。屋上から見渡せば、緑生い茂る広大な基地の向こうは紺碧の海と空。沖縄全土の75%が基地であることを聞けば、訪れた者は沖縄について考えないわけにはゆかない。
展示会場に一歩足を踏み入れて、息を飲み、言葉を失った。天井から下げられたあげずば(琉球語でとんぼの羽根)の布たちが、漂うように、空気の動きにのってゆれている。逆らうことなく、軽やかに、でもそこに在る。
|