小倉さんは、若手作家ならではの強み、コンピュータを駆使しての、新しい感覚の図柄を生み出すことに熱心です。『布づくし・展』に出展していただいた帯も、古典柄である花文をイラストレータを使って、流れるような3次元の図柄に仕立てたものでした。
もちろん、白生地に向ってからの作業は、伝統的な友禅染めの技法で描きます。雅びでありながら現代的で、洗練された帯になっていて、来場者のなかにも、そのことに気づいた方もいらしたようでした。写真では、深みのある、微妙な色調が見ていただけないのがちょっと残念です。
"わお〜〜"と叫んでしまったのは、御子息の七五三のために作ったという一枚。今にも声をあげ、布地から飛び出してきそうな恐竜たちが、金色で描かれています。それも、平坦でなく、ウロコの質感まで感じられるよう、金絵の具を盛り上げる技法を使っています。裏地は、5才だったご本人が描いた絵をお祖父さまが写したもの。これこそ世界でただ一つのもの。恐竜の写真は、インターネットで探し出したとか。親子3代の見事な合作といえるでしょう。
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