座業の必需品は、長時間座っていても疲れない座椅子だと思います。長野県塩尻市の保知 充(ほち みつる)さんの作る座椅子は、使い勝手がいいばかりでなく、和室の、また作業場の空気を上質にしてくれる姿の美しさも兼ね備えています。
木部はヤチダモと呼ばれるモクセイ科の木。樹齢680年の道内一の巨木が北海道にあるそうです。仕上げは摺漆。程よい光沢の下から木目が透けて見えます。お尻に優しいわけは、「七島い」で編まれた座面の弾力性と緩やかな角度にあるようです。保知さんは、い草の編み方を松本の民藝家具で修行を積んだ職人さんから習いました。水分を含ませた十数本のい草を手のひらを使って縒りをかけながら編んでゆきます。縒りと編みの力加減で座面の張りが決まります。程よいサジ加減で編み続けることが肝要だそう。集中とリラックスは、どの手作業にも共通の有り様のようです。琉球畳の材料にもなる「七島い」は国東半島の産で、跡継ぎのいない生産者が多く、将来の生産量不足が懸念されると、伝統の手仕事の悩みのひとつがここでも。少々値が高くても質の良い国産素材を使った製品を求める使い手側の理解とお財布が、もう一度もどってくることを切に願いましょう。
サイズは、42x32x10cm。高さは10cmから17.5cmまで2.5cm刻みで作ってくれます。また、木部をオイルフィニッシュにすることもできます(トップの写真)。待ち時間は、注文をうけてから4〜6ヶ月。お値段は36000円。座面が痛んだら修理もしてくれます。一生モノの座椅子、
ご注文は直接、保知さんまで
どうぞ!
(2011/10 よこやまゆうこ)
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