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『ヴァンクーヴァからアラスカ州ノームへの船旅』

<その一>:ワイルドライフ

久方ぶりの海外旅行。目的地は北極圏アラスカ。7月半ば、ヴァンクーヴァまで飛び、クルーズ船に乗り込む。45000トン。現在の乗客数200余名。出発前には、アラスカの自然と人を愛し、野営中に熊に襲われて亡くなった写真家星野道夫の『森と氷河と鯨』『イニュニック』『ノーザンライツ』、最後のフロンティア・インディアンは語るとある『熱きアラスカ魂』などの本を読んで情報と気分をたっぷりインプット。

岸に添って就航する船はほとんど揺れることもなく、ん?と思うと震度2ほど。揺れというと地震に直結して感じてしまうようになっていることに気づく。

最初の寄港はKetchikanケチカン。人口7〜8000人ほどの古い町。19世紀末には鮭漁で栄え、金が発見されて発展したが、ゴールドラッシュの終わりとともに廃れ、その後は再び鮭の町となった。とはいえ、町で一軒ある寿司屋を素見してみたが、サーモンの握りが格別美味しかったというわけではなく、大いにがっかり。町全体が、30年ほど前から時が止まっているような雰囲気を漂わせている。
  レインフォーレスト散策ツアーに参加。アメリカ最大の雨林は、すべてを自然のままに、の精神なので、むかし人が住んでいた小屋も巨大な鉄の製材機もボートも、森のあちこちに放置されている。鉄塊が土に還るのはいつのことだろうか、、。少なくとも今の景観はよろしくない。

黒熊が出たら、決して目をあわせてはいけない、みんなで一塊になってゆっくりあとずさること、など、さんざんガイドから注意があった。これが彼の足跡だ!と示され、怖さと期待で吊り橋などを渡ってワイルドライフ・ツアーも終わる頃、水路の対岸にある養魚場施設近くに黒熊出没!熊も賢いから、森の中で小さなベリー類で腹を満たすより、浅瀬の魚を捕っていた方が効率が良いに決まっている。この川には10万匹の鮭が戻ってくるというが、それまでの辛抱か。熊の出現に、やっと出てくれたか〜と、一番喜んだのはガイドのお兄ちゃん。その他に遭遇した生き物は、浅瀬に数匹のキングサーモン、橋桁に休む鷹2羽、飼われている白頭鷲と梟、小道を横切る三毛猫くらい。ムースもビーバーもお披露目なし。TVのドキュメンタリーのようにはゆかない。
    (2012/8 よこやまゆうこ)

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