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<その5>White Pass & Yukon Route Railway ゴールドラッシュの夢の跡

Hainesに停泊している船から渡し船で対岸までゆき、さらにバスでSkagwayの町へ。1898年、アラスカにも金が発見され、不況の折から3万とも4万とも言われる男女が、45マイルの道のりをKlondikeまでトレッキングしたゴールドラッシュの出発地だ。3000頭の馬が酷使や事故で死んだという記録があるが、厳しい道のりであったことは容易に想像される。現在は、まさにアラスカ屈指の観光地とみえて、巨大クルーズ船が3、4隻も接岸している。数千人単位の観光客だろう。 ここからジーゼル機関車に引かれて、往復3時間の登山列車。海抜0mから32km先のWhite Passまでの標高差が873mと、北米でも最も傾斜のある路線と言われている。線路の左側は深い谷と遥かに雪渓をみる山並、右側は花崗岩の荒々しい山肌が続く。列車は左右に大きくくねりながら頂上を目指してゆっくり進む。落差200mの滝が遠くの氷河から続いているのが見晴らせるポイントでは、誰もが列車の連結箇所に出てカメラを構える。1969年にトンネルが掘られるまで使われていたという1901年製の鉄橋が、朽ちるに任せて残されている。
列車はカナダとの国境をなすWhite Passで折り返し運転。盛りを終えた花々が固い岩肌に取りつき、短い夏を彩っている。ほとんど動物や鳥の気配を感じなかったが、一度だけ、遠くの岩肌にマウンテンゴートが2頭!と車掌さんがアナウンスで叫んだが、見つけ損なった。あまりに大きな自然のなかでは、通りすがりではワイルドライフは見られない、ということらしい。5月から9月までの観光シーズンを過ぎれば、人気のない大自然は静まり返り、本来の動物だけの世界に戻るのだろう。人はちょこっとの間、お邪魔させてもらっているといったところか。
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    (2012/8 よこやまゆうこ)

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