文 田中敦子
撮影 渞 忠之
発行所 講談社
価格 2000円(税別)
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きものの指南役としても若いきもの愛好家たちの厚い支持をえている田中敦子さん。本当は、編集者であり手仕事を伝える書き手です。その歯切れよい書き振りが遺憾なく発揮された本書、サブタイトルにあるとおり、“東京という大きな都市に生きる現代人が、江戸の昔と変わることなく、こつこつ手を動かし続けること。そうして生まれる品々の、機械ではなし得ない味わいとデザイン性の高さ。”への著者の感動と信頼が伝わってくる本です。
取り上げられている30名の職人さんのなかには、江戸指物の戸田敏夫さんや、足袋の石井芳和さんら、存じ上げる方もいらしたり、昔、先代をお訪ねした工房の跡継ぎの方がいらしたり、長く愛用している品を作っていらっしゃる方がいらしたりと、確認と発見の多い内容。
田中さんから一言いただきました。“「もののみごと」は、東京の下町で育った私にとって身近であると同時に未知な仕事の宝庫である職人わざを訪ねたものです。現代に息づくグッドデザインの道具としての魅力を伝えたく、「もののみごと」というタイトルにしました。主役はもの。
ものの魅力を支えている、わざと人の素晴らしさを伝えられたらと思っています。”
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