3代目は寡黙なアーティスト
遠見和之さんは、物静かで、多くを語らない人です。母親は、もう少しやる気をだしてくれるといいけど・・・と言うものの、本人はどうやらマイペース主義。祖父とも母とも違う路線を切り開こうとしているようです。
和之さんの使う素材は、裏山に自生する野生楮。この楮の皮を煮て叩き、指で伸ばすと、丈夫な繊維が横に広がります。ポリネシアの島の人々がタパクロスとして大昔から紙の代わりに使ってきたものと同種のものです。
この特性に気付いたとき、一つの方向が見えたように思う、と彼は言います。野生楮の繊維は固く、砕いて紙にしようとすると扱いにくい材料ですが、逆転の発想で素材を生かす道を探るところに、彼のアーティスティックな閃きがあったといえそうです。
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