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能登の手漉き和紙

3代目は寡黙なアーティスト

遠見和之さんは、物静かで、多くを語らない人です。母親は、もう少しやる気をだしてくれるといいけど・・・と言うものの、本人はどうやらマイペース主義。祖父とも母とも違う路線を切り開こうとしているようです。 和之さんの使う素材は、裏山に自生する野生楮。この楮の皮を煮て叩き、指で伸ばすと、丈夫な繊維が横に広がります。ポリネシアの島の人々がタパクロスとして大昔から紙の代わりに使ってきたものと同種のものです。 この特性に気付いたとき、一つの方向が見えたように思う、と彼は言います。野生楮の繊維は固く、砕いて紙にしようとすると扱いにくい材料ですが、逆転の発想で素材を生かす道を探るところに、彼のアーティスティックな閃きがあったといえそうです。

 
 

日本海の荒波に洗われた白骨のような流木の支柱と、植物の繊維そのものからこぼれでる光は、枯れた味わいの明かりとなっています。いっそモダンな空間に置いてみたい照明器具です。
もう一つの作品は、細い竹の先端の不規則な枝別れを巧みに利用してランプシェードにした紙と竹のドーム。一見簡単にできているように見えますが、その工程を聞けば、細かな神経と工夫が至る所に施されていることに驚きます。昨今、竹と和紙の照明器具は多く見かけますが、細い細い先端にまで弾力性を持つ竹の特性を巧みに取り入れたアプローチは斬新で、和之さんのオリジナリティを感じさせてくれます。 二種類の作品とも、素材次第、在庫など持ち得ない手法で作られているため販売には不向きですが、あえて、オリジナルなもの、一点ものを望む方のための手仕事としてご紹介することにしました。

     
 

遠見和之の灯り

竹の灯りの制作工程を紹介しましょう。 材料はすべて地元の植物たち。裏山の竹、栗林から拾い集めたイガを煮出した染料、野生楮で漉いた紙。竹を結ぶ紐も楮の繊維を使います。でき上がった灯りは一陣の風を受ければふわっと空に舞い上がってゆきそう。見る人の心にも春風が吹き込みそうな手作りの灯りです。

 

  直径30cmほどの竹の枠
  足になるところを作りながら、細い竹の先をわたし、楮の繊維で結びながらドームを作る
  灰色っぽい栗のイガの染料を塗った和紙を貼ってゆく
  貼り終えたところ
  光を入れる

京美さんの漉いた野集紙の写真は『季刊銀花84号』に掲載された 後 勝彦氏の写真を、出版社と写真家の許可を得て使わせて頂きました。ご厚意に感謝申し上げます。

 

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