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スペイン北部の旅 1
Santillana del mar


独立運動で不穏な動きがあるとの新聞報道を気にしながらも、テロは外国人を狙わないという言葉を信じて、長年訪ねてみたかったバスク地方への旅にでました。バスクは、スペインの東北端とフランスの西南端にまたがる地域で、人口は200万。両国にまたがりながらも独立を要求している民族です。あまり馴染みのない地域かもしれませんが、名前だけは良く知っている、16世紀の伝道師フランシスコ・ザビエルはバスク人、また、テレビなどで見る牛に追い掛けながら命がけで走るサン・フェルミンもバスク地方パンプローナで行われる祭りです。
バスク地方への日本人観光客はまだ少ないからか、出発前に入手できたパンフレット類はとても少なく、詳しい地図もないまま、何件かのパラドール(*)を予約し、北西部の巡礼の町サンチャゴ・デ・コンポステーラから、東海岸のバルセロナまで、レンタカーで5日間で移動、という机上プランを立てて旅立つことになりました。果たして、机上は現実にあらず、連日8〜10時間を走り続け、オンボロルノーを一台乗り潰すという、ラリーのような旅となりました。強行軍ではありましたが、北部海岸沿いを西から東へ、さらにフランス領へ入ったりまた出たりしながら、ピレネー山脈のパノラマを堪能し、スペイン北部の村々を駆け抜けて、この地域を線で見ることができました。途中、面白かったところをシリーズでご紹介したいと思います。

(*)パラドールはスペイン国営のホテルチェーンで、スペイン各地に83ケ所ある。このうち35ケ所は古城や旧領主の館、豪族の邸宅、修道院を改造した建物、26ケ所は海岸や山岳地帯のリゾートにあり、ほとんどが4つ星か3つ星。東京連絡先:(株)パラテル・インーナショナル 03-5484-0131)







 

その1: Santillana del Mar
(サンティヤーナ・デル・マル)

カンタブリア地方の中心Santander(サンタンデール)から内陸へ向けて30キロも走ると、スペインの村の中でも最も美しい村の一つといわれるサンティヤーナ・デル・マルがあります。 村全体が国の文化財に指定されており、ほとんどの建物が15〜18世紀までのもの。赤茶っぽいレンガの屋根瓦、白い壁、そして石の鋪道とが、しっとりとした印象を与えます。
歩いても15分くらいで廻れる小さな村ですが、村人は当時のままの建物を守って暮らしているようです。

壁に紋章のついた家は貴族の家だったもの。2階窓には盛大に洗濯物が翻り、生活の臭いを感じさせます。とはいえ、地元の人々の姿はあまりなく、子供たちの声も聞こえてきません。アジアの農村では、どこも就学前の子供達が門ごとに遊ぶ姿があるのに、ちょっと不思議な感じがしました。これはこの村だけでなく、旅の全行程で感じたことでした。きっと若者は仕事のある近くの町に住み、村に残っているのは高齢者なのでしょう。

土産物屋で見かけたのは、ちょっと珍しい木靴。靴の下に下駄の歯のようなものが4本ついています。この地方の最も一般的な郷土料理はインゲン豆、キャベツ、腸詰め、豚肉などを煮込んだコシード・モンタニュスと呼ばれるシチュー。んーーー、とにかく、とてもローカルな味がしました。

旅の終着点はまだまだ先。ランチを終えたら再びラリー続行。旅のレポートその2をお楽しみに・・・

   

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