ROYAL COLLEGE OF ARTでの展示とレクチャー
ロンドンでは、テロへの警戒など何も感じられない、いつもの街の様子にほっとしながら、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの会場での、あわただしい展示作業。天井に張った糸に掛けられた布たちは、空気の動きで緩やかに揺れ、殺風景な白壁に繊細な影を落としています。ここでもまた、染織専攻の学生たちや、先生方が大勢集まり、専門的な質問があがりました。撚りをかけていない繊維の組み合わせから生まれるシボの表情や、黄色い野蚕の持つ色をそのまま布にした輝くような光沢に、彼らの興味は尽きないようでした。
染織担当教授は、学生たちが作業を続けている機のある工房や染め場を案内して下さり、上原さんによるワークショップの実現にも強い関心を持たれたようでした。
おわりに・・・
日本の染織は、手織り、機械織りを問わず、世界に注目されていることを感じる旅でした。絹の道の終着点にある日本が、糸と布の高い文化を育んできたことは間違いありません。産業としてはひところの元気は失われていますが、新しい技法や感覚で、再び輝きをとりもどすという希望を捨てないことが、何より大切なのではないだろうかと感じました。
今回の事業は、ささやかな試みではありましたが、草の根交流の種をひと粒、蒔けたかもしれません。援助をいただいた財団に、深く感謝いたします。
(横山祐子)
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