おわりに:
今回ODAの事業に参加するに当たり、ネット上でASEAN諸国と日本のODAの関係を調べてみると、日本は世界42カ国に対して最大援助国となっており(1998年統計)、ヴェトナムは日本の二国間ODA供与国のなかで、インドネシア、中国、タイについで4番目である。彼らが受ける援助の54%が日本からのものである。アジアの国々は、日本の援助を大歓迎している。タイ、ヴェトナムをはじめ、ラオス、ミャンマー、カンボジアなどの国々も、非農業分野として、手工芸品を有望な外貨獲得手段とみて力を入れ始めている。日本がその経験や制度を参考にしてもらい、具体的なノウハウを示してゆくのは意味のあることだと思う。市場経済が発展しているところがある一方、まだ政府、地方自治体が仕切らなければ一人立ちできない状態のところも多い。いずれにせよ、息の長い作業となるだろう。援助を受ける人々とのコミュニケーションをもっと深く、もっと明解にとることに、知恵を働かせたいものだ。顔の見える援助こそ、二つの国がお互いに理解し評価しあう方法だと思う。
長くなってしまった旅行記を最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
(よこやまゆうこ)
追記:
このレポートをまとめた直後の7月16日付産経新聞朝刊に、『川口外相「ODA庁」新設検討 外務省から分離、透明化図る』との記事が載った。平成14年度の一般会計予算で約9100億円が計上されているODAだが、以前から現地での援助金の不正使用があったり、被援助国支援にならず日本企業の営利優先との指摘があったり、融資過程の非公開などの不透明性がいわれていた。せっかく私たちの税金が使われるのだから、納得のゆく使い方をしてほしいものだ。そして参加する専門家たちのエクスパティーズ(専門知識技術ノウハウ)が、効果的に発揮されるような取り組みになることを期待しよう。
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