こんなにも形のふぞろいな板を、ルールなく張り合わせた扉を誰が作れるだろうか!いい加減の極地とでも言おうか、でも、そんな古いドアが美しい。日本の指物師の、あの10分の1ミリのずれにも容赦しない世界を見慣れている身には、この大雑把さ、このめちゃくちゃ加減には恐れ入ってしまう。でも美しいと思う。石の積み方、並べ方、壁の塗り方、木々の配置にまでも同じ志向が見られる。南のラテン系DNAのなせる技か。細部には気を使わないけれど、全体として辻褄があっていて、まとまりがある。
そして、この対極には、細部の完成度はすこぶる高い。でも全体として魅力的がない。そんなものもある。我らの工芸品のある種を指して反省を迫られる思いがするのだが、彼らの肩の力が抜けたいい加減さと、辻褄合わせの巧さには大いに学ばされる。文字通り、いい加減とは好い加減なのだ。
(撮影/文:よこやまゆうこ)
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