天を突くデイゴの大木が真っ赤な花びらを散らす庭には、染料になる植物がたくさん植えられています。研究熱心な深石さんは、そうした植物から染めた糸を、資料としてデータに残し保管しています。20数年前まではインド藍もたて、土地で育てられた繭から座繰り糸もとっていたということですが、今では、石垣島では養蚕もなくなってしまったということです。
工房には6名のお弟子さんがいます。ある程度できるようになったお弟子さんは、染めと織りのすべての作業を自分一人で行うことが求められますが、仕上がった布が不出来であると、その場で燃やされてしまうのだそうです。着尺を燃やすなんて、何と過激なこと。素材に申し訳がないと思ってしまうのですが、一度そうして深く深く反省しないと、次からの仕事も中途半端になってしまう、と深石さんは考えてのこと。仕事に向う厳しさをおぼえてほしい、との思いからなのでしょう。
|