こうして模様の部分に地色が乗らないようにブロックしてから、刷毛で引き染めをする。これを蒸して伏せ糊を落としたら、いよいよ友禅。絵を描くように色を挿してゆく。絵が描き上がったら溶剤で糊を落とす。金彩は最後の段階で行う。さらにこの上に刺繍を入れることもある。
谷さんの場合は、屋内に13メートルを張れないこともあって、着尺の引き染だけは専門の職人さんにお願いするが、絵羽にしたものなら、すべての工程を自分で行います。同じ糸目友禅でも、職人さんの仕事になると、効率のよい分業が多くなります。下絵を描く人、糸目糊をおく人、伏せ糊をおく人、色を挿す人、という具合に。このとき、複雑な分業プロセスを取り仕切るのが問屋さんであり、京都では"悉皆(しっかい)さん"と呼ばれる立場の人なのですが、この話は、いずれどこかで。どうやら一筋縄ではゆかない世界のようなのです。
谷さんの活動は個展やグループ展が中心ですが、将来はデパートの仕事を減らし、友禅の個展を増やしてゆく計画だそうです。連絡先は:03-3771-6905。
(2004/6/5 よこやまゆうこ)
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