『布づくし・展』では先染め、後染め、織り、刺繍、絞りなどの技法を用いた着尺が出展されましたが、その中に手描友禅の技法で描かれたものも数多くありました。作り手を訪ねるシリーズその10は、糸目友禅の糊置きを専門にしている職人細野光男さんの糊へのこだわりに迫ってみました。 手描友禅は、白生地の上に下絵を描き、糊を置き、糊で囲った中に色を挿し、刷毛で地色をつける、というのが主要な手順です。最近の友禅作家はこの一連の作業を自分でやることが多いそうですが、多数の着尺を染めていた一昔前までは、東京でも分業が成り立っていました。細野さんは、今でも作家から糊を置く作業だけを頼まれる、プロの糊置き屋さんです。この道一筋35年のプロのこだわりと工夫の、ほんの一端をご紹介します。
(2004/8/25 よこやまゆうこ)
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