『布づくし・展』での出展品に、沖縄の上布などに加わり、4点の能登上布(のとじょうふ)がありました。能登上布は、越後上布、宮古上布とともに日本の3大上布と称される、麻織に絣模様が涼しげな夏用の布です。その産地石川県羽咋市では、昭和初期には140軒の織元から40万反が出荷されていたといわれます。 当主山崎仁一氏夫人幸子さんは、お嫁入りするまで染め織りとは無縁であったそうですが、今でも現場に立たれます。そして、今年の2月から家業を手伝うようになったご子息の隆(ゆたか)さんも、加賀市での仕事を辞し、真っ白な状態からのスタートです。能登上布は、夏の定番として女性誌、着物関係出版物に登場し、その取材も途切れることがないとお見受けしました。隆盛を誇った産地に、今ではただ一軒残った織元山崎麻織物で、その盛衰物語を伺いました。
(2004/10/よこやまゆうこ)
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