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書籍紹介


『心地いい日本の道具』という本が出た。“漆椀で食べるご飯のおいしいことと言ったら、、、”と帯にある。著者は高森寛子さん。漆のものを中心に、日本の手作り優れものを使い手の立場から見つけ、使い、評し、紹介している書き手である。自他ともに認める年期の入った“生活者”の代表だ。十数年前に知り合い、人生の先達として、またこの分野の師として学ぶことの多い友人の出版を心からお祝いしたく、ここにご紹介する。

『心地いい日本の道具』では、お茶の時間、台所、食卓、旅、贈り物などのシチュエーションに章分けされ、日々の暮らしのなかで彼女が愛して使い込んでいる道具たち51点が、作り手や使い方のこととともに紹介されている。急須、茶碗篭、汁椀、漆のスプーンとフォーク、土鍋などなど。
作り手の住む日本各地への旅の描写が愉しい。こちらも焼物の窯場や漆の匂いが立ち込める工房にいるような気になってくる。51点のすべてに、作る人と作られたものへの愛情がこめられている。経験あふれる目と手で使ってみたうえでの文章は説得力があり、つい同じものを求めたくなる誘惑に駆られる。もちろん、駆られたらすぐ連絡をとれる作り手連絡先一覧も整っている。
題名の“心地いい”には、目にも唇にも手にも、きっと人間関係にも心地いいの意なのだろう。お勧めの一冊である。

『心地いい日本の道具』
高森寛子著
亜紀書房
ISBN4-7505-0416-5
2300円+税
 

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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