伝統工芸の世界も世代交代が進んでいます。この分野での60〜70代はまだまだ働き盛り、熟練の技が冴える年代でもありますが、後継者を真剣に考えなければならない年代でもあります。当節、宮仕えをきらう若者が、腕に技術をつける自由業として伝統工芸の道にすすみたい、との傾向もあります。とはいえ、弟子入りとか修行といった言葉はもう通用しません。5年修行して1年お礼奉公するといった習慣は、ほとんどなくなりつつあります。親方と寝食をともにする住み込みが弟子入りの原則ですが、“このごろの若いモンは個室をほしいというから困る、、”との親方の嘆きも聞きます。そんな優雅な環境で9時〜5時の修行なんてありえません。今年71歳の藤本さんは、昔風の丁稚奉公という生活のなかで仕事を覚えた最後のジェネレーションにあたるのではないでしょうか。落語の小咄ででてくるような、丁稚(でっち)と呼ばれる小僧さん時代の様子を伺いました。
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