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『伏見眞樹の手仕事が動画でご覧になれます』

漆作家の伏見眞樹さんの自作の動画がYou Tubeで見られます。
ベビーフォーク、ベビースプーン、菊型カップ、カレースプーン、ベビースプーンの修理、箸の六種です。
どれも解説などはなく、BGMに作業の音が重なるだけ。この動画を見ていると、漆の仕事というものは、同じことの繰り返しをきっちり重ねることから、使いやすい形、美しい漆の感触が生まれてくることが納得できます。ひとつとして無駄やし損じのない動きは、長い時間の繰り返しの作業で培われるもの。身体が、指先がすっかり覚えてしまったリズミカルな動きが、竹を削る音、ヤスリで古い漆をこすり取る音などとともに淡々と続きます。
指の延長のように考え抜かれた道具を使い、一本の塗箸を作るのにさえ、これほど緻密な作業と時間をかけていることに頭が下がる思いがします。
ある時、先が割れてしまったベビースプーンの修理バージョンを偶然に見た、というアメリカからの英語のメールを伏見さんは見せてくれました。その人は、ちっぽけに見える竹製ベビースプーンを修理する発想が理解できない、という戸惑いと驚きの言葉とともに、その作業はhypnotic(催眠術のよう)でさえある、とコメントしています。彼はきっとあまりの価値観の違いに一種の感動にも似たカルチャーショックを覚えたのでしょう。確かに、何故、そこまで手間ひまかけて痛んだスプーンを修理するの?との疑問がわかないわけではありません。でも、そこに、自ら裏山で切り出した孟宗竹から愛おしい形と質感をもつベビースプーンを生み出した作り手の愛があるのだと思います。キーボード一つ叩くだけで瞬時に巨万の富をつくることもできるこの時代にあって、伏見さんの選択は、いっそすがすがしく、小気味よささえ感じてしまいます。ぜひ、一度、覗いてみて下さい。(YY)
    (2009/5 よこやまゆうこ)

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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