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写真:根岸聡一郎
この度の東北地方太平洋沖地震により、被災されたみなさまに、謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い復旧とみなさまのご健康を心からお祈り申し上げます。
今回の大震災の被災地にも、いくつかの伝統工芸品の産地があります。長く続いた地場産業として、優れた工芸品を作り続けてきた産地が、どれほどの被害を受けているのか、まだはっきりとは分かりません。
そのひとつ、宮城県石巻には、室町時代初期から続くとされる「雄勝硯」があります。江戸時代の初め、牡鹿半島に鹿狩りにきた伊達政宗に硯を献上して褒美を賜ったとの伝えもあります。ここでは、雄勝硯伝統産業会館が津波で流さ れたと聞きます。美しい硯を産出してきた採石場は、泥に覆われてしまったのでしょうか。名匠たちのご無事をお祈りします。
岩手県一関市には「秀衡塗」があります。奥州藤原氏の力で平安時代末期から培われてきた技でつくられる椀は、金箔をほどこした特徴ある意匠で、一目で秀衡塗とわかるものです。ここでは建物の損壊などの被害が あったと聞きます。ライフラインの復旧をまって、一日も早く立ち直り、貴重な伝統の仕事を続けてほしいものです。
また、福島県を代表する「大堀相馬焼」も、激しい揺れに多くの商品が壊れ、窯にも損傷がでたと聞きます。300年から続く窯場は原発の避難地域にあり、再生に着手することもままならないとのこと。どんなに長くかかっても、いつかは再築してほしいと願うばかりです。
広範囲に及ぶ今回の被災地では、程度の差はあっても、被害を受けた作り手の方々がたくさんいらっしゃることと思います。それでなくても、当節の風潮として、しっかり作られた良い什器を使わない 傾向が強まるなか、ますます人々がこれらの手作り品から遠ざかってしまわないかと、ちょっと心配です。でも、被災地域が出している都内のアンテナショップには、いつもを上回る来場者があるとの報道もあり、心強く感じました。今は消費地での展示会など多くが中止されていますが、再開したときには、どうか目を留め、足を運び、使うことで支援をお願いします。

なお、side story 227でお知らせしている金沢での展覧会『輪島の漆作家たちから ベビースプーンに愛を込めて』は、2007年に能登半島を襲った地震の復興事業の一環として企画され、来る3月25日から4月10日まで、予定通り開催されます。ご高覧下さい。
    縄文社  横山祐子
(2011/3/20)

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