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『史跡 井戸尻遺跡を訪ねる』

八ヶ岳レポート第二弾。長野県諏訪郡富士見町にある『史跡 井戸尻遺跡』を訪れました。富士見町は三つの霊山―八ヶ岳、南アルプス、富士山ーが見える静かで美しい里山です。遠くに高い山々の峰を臨むこのあたり特有の高原風景と違うのは、この地は八ヶ岳の裾野のなだらかな坂の延長にあり、こんもりとした低い山が手の届くところにあることです。
宮崎駿さんが、この地と深い関わりをもっていることにも自然に納得できました。
井戸尻遺跡群からは、縄文中期を中心とする強い造形とメッセージ性をもった土器、矢じりなどがたくさん出土しています。なかでも出色の土器は、「神像筒形土器」。高さ56cmほどの土器は、人が筒を抱えるような形、背面の文様は複雑で象徴的な意味をもつといわれる装飾が施されています。井戸尻は、その頃この地に点在した集落のなかでも、特に霊的なことを司る集落ではなかったか、と考えられています。詳しいことは井戸尻考古館をご覧ください。
日本人が手で作ったモノの最初がこれらの縄文土器だったということを思うと、豊かな発想や造形力、掌や指の使い方に感嘆するばかりです。さらに、農耕のために使われたと思われる道具も発掘されており、縄文人の生活は衣食住において安定もあり、物心ともに豊かだったことが想像されます。
坂の下の低い土地には蓮田が広がっています。透明感ある濃いピンクの古代蓮や、小振りながらあたりを祓うように立つ白蓮たちです。季節には、あやめ、かきつばた、野花菖蒲などが、蓮田を取り囲むように咲き乱れるとパンフレットにはあります。縄文人も朝靄のなかに、ぼっと開き初める蓮の花を眺め愛でたのでしょうか。蓮は7月半ばから8月いっぱい楽しめるそうです。
    (2011/8 よこやまゆうこ)

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