漆の樹から滲みだす樹液を掻き採り、集めた漆の液は樽に入れて塗師屋や漆作家の手に渡ります。作り手は、色漆にするため鉱物の粉を混ぜるなどの作業をし、好みの漆を作ります。さらに、その漆から微細なチリを取り除くため、和紙で漉します。昔から主に吉野紙と呼ばれる丈夫な和紙が使われてきました。ところが、今や手漉きの漉し紙は高額になってしまったことから、使い勝手としては何ら遜色のないナイロン紙が主流となり、手漉き和紙で漉す作り手は少数派になってしまいました。漉した後の和紙も稀少です。
この漆漉しに使われた和紙に残る偶然の漆の跡は、なかなか味わいのあるもので、何とかうまい使い道はないものかと思案の果てに、和装本の表紙に使うことを思いつきました。今回は二種類の茶色の漆の残る紙を使っています。完全に乾燥しているので、触ってもかぶれる心配はありません。
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(2011/11 よこやまゆうこ)
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