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<その9>ロシア領Provideniyaとアメリカ領Nome

アメリカ領から半日だけロシア領に上陸するため、船客や従業員がパスポートを持って一カ所に集合。白帽のコックさん、つなぎ姿のエンジニア、美容師さん、ミュージシャン、メイドさんらが列を作る。
プロヴィデニアの海岸には艀がないため、6、7名ずつゴムボートに乗り込んで上陸。時化っぽい海は波高く、ボートに乗り込むのもおっかなびっくり。冷たい海に落ちたら、、、。上陸すると、レーニン像を背に、案内のロシア嬢はやや緊張した面持ち。
街路樹もなく殺風景な通りの両側に赤、黄、緑、青などの原色に塗りわけられた建物が立ち並ぶ。一年のうち長い期間が濃霧、雨、雪、荒れる海という自然環境のなかでは、せめて建物はカラフルに、との気持は分からないでもないが、かえって荒涼感を高めているようでもある。
美術館は看板も何もない見事にぼろぼろの建物で、先住民の生活や、在来動植物の展示が充実していた。マンモスの牙製鯨のペンダントをお土産に。
  ノームの人口は3500人ほど。1898年に海岸で金が発見されたため、ゴールドラッシュが起こり、一時は12000人が住んだという。また、1925年冬、イヌイットの間でジフテリアが大流行し、ブリザードのため血清を運ぶ飛行機が飛ばず、犬ぞりで運ばれたことから、現在も犬ぞりレースが行われる。ノースウエスト・エクスペディションに参加する人々がアンカレッジからアラスカ航空機でノームへ向かったが、悪天候のため2度も引き返し、もう一機は近隣の町に着陸、町にはホテルがなく機内で一泊、との噂が船内に流れた。夏場でもこのような天候はそう珍しくないとのこと。
とはいえ、屋上から外壁に至るまで太陽光発電用パネルがつけられた真新しい建物があった。町の人は、うん、効果あるよ、と。ぬかるむ町を散策中、浜で鯨が打ち上げられていると聞いたが、気乗りせず、、、。
  ノームは、実話に基づいたというふれこみの映画『The Fourth Kind』(2009年)の舞台として話題を呼んだことがある。宇宙人に娘を連れ去られる心理学者を主人公にしたストーリーだが、この町は行方不明者が多く、FBI捜査訪問が異様に多いというのは事実。町を散策した夜、船内シアターで上映された映画を観たが、臨場感いっぱいであった。
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    (2012/8 よこやまゆうこ)

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