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『残したい技 ひき継ぎたい心』

2012年8月に滋賀県近江八幡市で青竹細工の展覧会が開かれました。このとき、<暮らしのなかで息づく竹の道具たち 現代の名工 廣島一夫の手仕事 展示会記録集>と題されたカタログが作られ、現在100部のみ残っていますと事務局から知らされました。
廣島一夫さん98才は、宮崎県日之影町で80年ほども竹篭を編んでこられた方です。地元の農家や家庭で使われるための竹篭を当たり前のように作っていらした廣島さんを“発見”したのは、ワシントンにあるスミソニアン美術館の学芸員でした。昭和63年、美術館は100点を越える竹篭を注文し、今や170点に及ぶコレクションとなっています。
広島さんの竹籠は、野良や台所で使うにはもったいないほどの完成度の高さです。伝統の形とはいえ、竹の特性を十二分に利用したふくよかで滑らかな張り、均一で細かな編目の連なりなど、その手技の繊細さと仕上がりの美しさには目を見張ります。


15年ほど前、山深い工房に広島さんをお訪ねしたことがあります。お話のなかから竹籠作りをこころから愛していらっしゃる気持が伝わりました。廣島さんは、“おりが作る籠は見るためのものじゃねえとよ。使うためのものじゃ”とおっしゃいます。その折にいただいた2つの竹籠は宝物になりました。
嬉しいことに、青竹細工に魅せられた若い職人さんたちが一人、また一人とよい仕事をして認められるようになってきました。水俣を訪れたとき偶然出会った神奈川県出身の井上克彦さんもそのお一人。地元の人のために農具、漁具、台所用品などを作っています。文化の違う地に独りで移り住んで14年。同じ志をもつ伴侶を得て、昨年赤ちゃん誕生との嬉しいニュースを知らせてくれました。
エコだからというわけじゃなく、美しいから使う、使うことが愉しいから使う、という青竹細工愛好者が増えているのは嬉しいことです。

展示会記録集は一部500円(+送料)。連絡先は:特定非営利活動法人 はれたりくもったり emailでお申し込みください。
harekumo@biwako.ne.jp

    (2013/2 よこやまゆうこ)

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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