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『地中海航海日誌その5 <北イタリアの港町 Rapallo(ラパッロ)とPortofino(ポルトフィーノ)散策>』
船は一晩でサントロペからラパッロへ移動。旅に出て初めての雨模様にほっと一息。雨蛙のような気分もつかの間、すぐにあがって再びの快晴。 ラパッロは、ジェノヴァの東南の港町。文句なく美しい! 傘のように開いた松やヤシの深い緑に埋まるようにしてヴィッラが点在する。壁には幾つかのがらり雨戸が設けられ、建物のアクセントになっている。ところがこれは、目を騙すとのフランス語から来ているトロンプ・ルイユという技法で、窓の幾つかは壁に描かれた絵。壁構造の建物では開口部をたくさんとれないので、このような手法で見た目の退屈な印象を逃れる。古い教会のドームが実は天井画であったり、狭い空間に遠近法を利用した絵を描き高さや広さを快く感じさせる工夫が昔から用いられてきた。
町はずれに教会兼要塞だった建物がティグーリオ湾を睨んでいる。ヨーロッパの町や村は小さいながらもみな自分で身を守り侵略を防いできたことが分かる。
町に戻る途中、この地を代表する食べ物フォカッチャの元祖のような店「マニュエリーナ フォカッチェリア」に立ち寄る。フォカッチャはピザを作る要領で作った生地の間に地元産のチーズを配し、250度のオーブンで8分間焼く。オーナー直々にサーブしてくれたフォカッチャは思いのほかあっさり。チーズはゴートチーズに近い舌触り。若い職人さんはやっぱり蕎麦職人のように、端正で集中していた。
  有名なPortofino(ポルトフィーノ)へはフェリーで8km30分ほど。イタリア人観光客も多い。
この週末に向けてが最大の人出という。ブティックのおじさんによれば、日本の観光客はそう多くないとのこと。裏から奥の道に逸れると、イタリア人の洗濯好きを全開した光景に行き当たる。洗濯物は立派なオブジェとなってファサードを彩ってはいないだろうか。
山側に走って「SPLENDIDO」とはよくも付けたりの名を冠するオーベルジュと言うよりはホテルでのランチ。まあ、息をのむような、という見晴らしのテラスでの白ワイン/シュリンプカクテル/地元野菜のソテー/鱸の炭火焼などの2時間は文句あるかと問われれば、ない。が、お味はと問われれば、まあまあ。お味より景色でしょうか。
  パノラマ撮影の一枚をどうぞ。
※各写真をクリックすると拡大します
(2013/8 よこやまゆうこ)

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