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『季刊 和紙だより』

昨年、古い家の障子を張り替えました。ちょっとケチ心を起こして、こんなぼろ家だから機械漉き障子紙でゆきましょう、、、と。経師屋さんの手できれいに張りかわった障子は冬日を浴びて白く耀いて見えました。ところが、ん、、、?一寸なんだか妙な感じ、、、。陽を浴びた障子の透け感がいまいちなのです。べたっとしたというか、表情が乏しいというか、、。厚塗りのお化粧をした肌ような、、、。素人なりに考えて、機械漉きは材料の繊維が細かい上に均等に漉きあげるため、均一すぎてべたっとした感じが生まれる。他方、手漉きは、繊維も長く、前後左右にゆすって漉く技のゆえに、何気に繊維が絡み合い、微妙なゆらぎが生まれる。そのゆらぎが光の透過を不均一にし、あの、手漉き和紙障子のふんわりした光の反射や透過になるのでは、と推測しました。プロの説明を聞いてみたいと思いつつ、僅かな節約で本物の愉しみを失う愚かさを反省しました。
  ご紹介する『季刊 和紙だより』は、A4たった4ページの和紙情報誌(発行人:福井県和紙工業協同組合)ですが、日本の手すき和紙情報を得るには絶好の出版物です。数ある伝統工芸のなかでも、一番存続の危機に瀕しているのが手漉き和紙でしょう。その内情や、頑張って海外に市場を求め活路を見いだしている企業などの様子が取材されています。最新号での、デザイナー喜多俊之さんの言葉“住まいというのは本来、交流場所なのです。お客さんを閉め出して家族だけでいいとなると、朝から晩まで普段着だけでもいい、季節のしつらえや祭事を一緒に楽しむ空間もなくなります。人が集まらない、そんな中に伝統産業の入る余地なんてないのです。東京をはじめ、特に大都会で、伝統工芸の受け皿である市場―暮らしの現場が荒廃しています。”
企業は、人々の目が外へ外へと向かうよう、あの手この手を考えだして斬新で驚きのある場所、催し、ものなどを次々と提供します。それらを追いかけているだけで毎日が暮れて行きそうです。一方、伝統の工芸品は、人ともの、人と人がもっと密やかでプライベートで親密な関係を結ぶためのものです。この辺で、もう一度、落ち着いたひととものとの関係を取り戻し愉しみたいものです。

「季刊 和紙だより』(無料)をご希望のかたは、福井県和紙工業協同組合(電話:0778-43-0875)にお問い合せください。また、バックナンバーは、http://washidayori.jimdo.comからダウンロードして、ご覧頂けます。
    (2014/1 よこやまゆうこ)

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