タヒチ航空直行便で11時間のフライトののちタヒチに到着。フランス領ポリネシアのクルーズが始まった。
太平洋の真ん中に浮かぶ島々に関する情報を白水社刊エマニュエル・ヴィニュロン著『フランス領ポリネシア』に求めた。以下の情報はすべてこの書物からのものだ。
フランス領ポリネシアは118の島々から成り、その半数以上は無人島。フランスは税金(今のレートで年間2600億円!)を費やしてこれらの島々を統治し、ポリネシア人は、フランス大統領選挙に投票権がある。香港がイギリスから独立した時のことは記憶にあるが、ポリネシアがフランスから独立する気配は今のところなさそう。蒼い海と空の間で、“豊かではないが気楽な暮らし”を謳歌しているようだ。
どれくらい太平洋の真ん中かというと、LAやシドニーまで6000キロ、東京まで9500キロ、ヨーロッパまでは18000キロの距離にある。ポリネシアと言えばタヒチ、タヒチといえばゴーギャンと結びつくが、ポール・ゴーギャンの時代に、船でフランスから二度もタヒチへ往復したゴーギャンは勇気があったのか絶望の果てか、、、。
ポリネシア最大の島タヒチは1043平方キロあり、全陸地面積の1/3を占めている。島々のほぼ半分が5万平方キロの面積を持つにすぎないと言えば、117の島々がいかに細々と点在しているかがわかる。
島は浸食された火山で、幾つかの島々は周囲を珊瑚礁に囲まれ、観光写真で見る王冠のように丸いラグーンに透き通る珊瑚礁の海があり、平均気温25、6度の熱帯海洋性気候と暑さをやわらげる貿易風、そして豊かな緑を育む雨量の多さと、南洋の楽園のイメージ通り。
日照りの中を10分も歩くと、クラクラしてくるほど蒸し暑いが、木陰に入り風にあたっているとそう悪くはない。でも、この環境であくせく働く気にならないのはよくわかる。現地の寓話から“黄色い蜥蜴”という名を持つ島Mooreaモオレアの澄んだ空気は、東京から持ち込んだPM2.5を肺から追い出してくれるようで、深呼吸ばかりしている。
船の案内デスクにいた黒真珠の似合う美しい女性は南仏で育ち、スティワーデスをしていたこともあり、年の半分はハワイに住んでいて、15才のとき中国に住んだこともあり、中国語の通訳をしている、と癖のないきれいな英語で話してくれた。母親が趣味で交配して育てているという珍しいハイビスカスの花を髪に挿していた。この島にはヒルトンホテルがあり、高校を卒業した島人の魅力的な就職先だという。観光客の増加を見込んで、学校では中国語コースがあるとか。
ここでは、ダイビングかスノーケリングをするのが正しい過ごし方で、それをしない怠惰組はプールサイドでトドのように寝そべる。日焼けもごめんという向きには、最上階デッキの屋根付ベッドに寝転がってトロピカル・ドリンクで喉を潤しながら、手の届くほど近くに広がるサンゴ礁と、暮れなずむ空と海の色を眺めてぼ〜〜とするのが正解。
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(2014/3/27 よこやまゆうこ)
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