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<番外編>フェルナンブコを染める
<番外編> フェルナンブコを染める
植物染織は同じ染材、同じ分量、同じ媒染を使っても、同じ色が染まるとは限りません。再現の難しい作業です。今回は珍しい染材から面白い色が出たのでご披露します。
染材はフェルナンブコというブラジルの樹。弦楽器の弓に使用する硬い木です。それをできるだけ細かく切ってもらい、今回はその時に出た鉋屑を使いました。粉なので20分ほど煮出して一番液を捨て、二番液、三番液のみを使用。一番液を使わないのは、見るからに黄色を含んでいたからです。これは紅花で赤を染めるときもそのようにすると書かれています。もっとも、紅花はとっくの昔に入手困難。山形の紅花栽培農家で獲れたものは、巷の素人染め織り人には廻ってこないほど、稀少になってしまいました。
二番と三番液を混ぜて20分ほどかけて温度をあげてゆくと、何と、生糸は目映いばかりの黄金色に染まってきました。しかし、液のなかの赤いピグメントはどこへいったのでしょう。赤が糸に吸い込まれてこないようです。これを銅媒染してみました。銅媒染ではたいてい青味がどこかに潜んでくるのですが、これは紫に変化しました。隠れていた赤と反応して紫になったと思っていますが、どうでしょう。しかし、SideStory#336で染め出した紫とは明らかに根っこを異にする紫色。しっかりと赤を潜めています。さて、問題の堅牢度はいかに? これは時間を待たないと答がでません。

ピンクっぽく見えるのは、同じ染材を少量で染め灰汁媒染したもの。茶は鉄媒染したものです。
データをとって、正確に再現を試みても、同じ結果が得られないのが素人による植物染織の悩ましくもスリリングなところと心得て、一期一会の色を楽しむことにしましょう。

(2017/3 よこやまゆうこ)

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