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<番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ

(ミツバチ便りより転載)
<番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ
ハチミツを舌にのせたときに感じるあの幸せな感じ、あれはいったい何故なのでしょう。私たちが口にするハチミツは、ミツバチが越冬するための食料を横取りしているわけですが、必ず彼らの食料として十分なだけは残しておくことで、また来年もお裾分けをいただけるという循環です。思えば、ミツバチの生態についてよく知りもしないで、純正がいいの、ニュージーランド産MANUKAがいいのと言ってきたような気がします。販売されているハチミツの殆どは明治時代に輸入されたセイヨウミツバチの蜜で、野生のニホンミツバチの蜜は販売されるほどの量が採れないのだそうです。
<番外編>八八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ <番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ
<番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ <番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ
養蜂を趣味とするひとが増えている、とも聞きました。そこで、友人の紹介で、八ヶ岳南麓で5箱の巣箱を置いて養蜂していらっしゃるYご夫妻をお訪ねしました。標高1250mの清流の脇の一角を永住の地と決め移り住んで20年、養蜂は4年前から始められ、これから採蜜する分を含めて今年の収穫予想は15kgだそうです。
今年は分蜂群を3つもなくしたということで、まだまだ分からないことが多いとおっしゃいます。
Yさんをお訪ねした日は大雨の翌日、増水した小川を恐る恐る長靴で渡り、赤とんぼが群れ飛ぶなかを、拓けた草地に点々と置かれた巣箱を見せていただきました。ニホンミツバチの好きな香りを発するキンリョウヘンという蘭のこと、最強の蜜源植物イヌゴシュユのこと、巣箱の置き方や日陰を作る方法など、初めて知ることばかり。幽かな羽音をたてて出入りするミツバチの傍で、賢い生き物の不思議な生態のほんの一端をかいま見る体験でした。
養蜂で大切なのは、分蜂された集団を見つけて新しい巣箱に誘導すること。Yさんによると、分蜂とは、春、新しい女王蜂が羽化する前に、働き蜂が巣別れの計画をたて、約半数の働き蜂が母親の女王蜂に巣別れを促します。このとき、羽化したての半数の雄蜂も行動を共にします。行動の決定権はすべて働き蜂にあるよう、とのことです。この頃、新しい巣箱の横に開花したキンリョウヘンの鉢を置き、ミツバチが香りに惹かれて寄ってきて、巣箱を気に入り、入ってくれるのをじっと待つのです。
<番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ <番外編>八ヶ岳南麓に広がるニホンミツバチ

最近の温暖化はミツバチにとっても歓迎されないようで、標高の高い八ヶ岳南麓地帯は養蜂に適するのか、最近では養蜂を趣味とするひとが増えているとのこと。愛犬を亡くしたあと、中高年が新たに犬を飼うのは難しい、そこで養蜂、なのだそうです。小柄でめったに刺したりしないミツバチがペット! そして、愛情をもって世話をすれば、あの琥珀色の甘く滋養豊かなハチミツを提供してくれるのですから、これほど嬉しいペットはありません。Yさんから分蜂したニホンミツバチが、豊富な花々と清涼な気候に恵まれた八ヶ岳南麓にますます広がってゆくとよいと思いました。*
(2018/9 よこやまゆうこ)

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