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<番外編>山梨県白州のきのこ農場を訪ねる
<番外編>山梨県白州のきのこ農場を訪ねる
キクラゲ目キクラゲ科キクラゲ属キクラゲ。
英語ではJew’s-earとかcloud earとか言い、
日本語では木耳と書きます。いずれにせよ、耳の形に似ているというのが、キクラゲの世界共通の見立のようです。
その栄養価はずば抜けて優秀。食物線維は牛蒡の3倍、骨を作るのに大切なビタミンD、カルシウム、マグネシウム、鉄分、カリウムなどが豊富、ほぼ無味無臭、乾燥させれば優に2年は保存可能。どんな食べ物と合わせても邪魔しないばかりか、こりこりした歯触りは独特。白と黒の二種類があり、マーケットではめったに見ることのない白キクラゲは、高級品として中国では銀耳と呼ばれ、不老長寿の薬として薬膳デザートに用いられます。
このように、なぜもっと食卓に上がらないのかが不思議なくらいの食べ物がキクラゲなのです。
と、まるでキクラゲ生産者の回し者のような口調ではありますが、好奇心がつのるあまり、収穫時期が一段落した夏の終り、北杜市白州でキノコ農場を運営する水谷多呂、三恵子夫妻を、お訪ねしました。

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農場とはいえ、原木栽培ではなく菌床玉栽培なので、かまぼこ型のテントの中の棚にはブナのチップを固めた高さ20cm、直径15cmほどの丸い塊が、背丈よりも高い棚にびっしり。菌床玉はビニール袋で密閉し、一定期間菌が育つのを待ちます。白州はサントリーのウイスキー蒸留所があるほど水質の良い土地柄で、その水をたっぷり振り掛けられ、キクラゲは次々と発芽し、一つひとつ丁寧に収穫されます。すでに夏の収穫期を終え、ちらほらとキノコがついている程度ながら、しっとりした手触りの白や黒の耳を摘むのは、ちょっとスリリングな初体験でした。天日乾燥すると滋養は生の8倍とおっしゃるように、テントの中で天日干ししたあと、電気炉でしっかり乾燥させて出荷します。

「白州山の水農場」では、キクラゲだけでなく、タモギ茸、平茸、アワビ茸、ヤナギマツタケ、シイタケ、なめこなど多種類のきのこを栽培しています。タモギ茸は薄黄色で透明感がありエレガントな姿と独特の香り。美味にして癌に効くというβグルカンが豊富。大振りで不思議な形のアワビ茸は抜群の存在感。ヤナギマツタケは茎がしゃきしゃきしてソテーに最適。霊芝も試験栽培しています。150万種もあるとされる菌類、その中から、安心して食べられ美味しく身体にもよく和洋中の食材として使えるキノコ類を、もっともっと料理に取り入れたいと思いました。

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<番外編>山梨県白州のきのこ農場を訪ねる
水谷さんご夫妻は、一時期ニュージーランドに住まわれ、大自然の中でからだに優しい農業をしたい、との共通の思いが育ったとおっしゃいます。美術家一家に育ち、ご本人もアートの道に進んでいたさなか、師となる人物が引退してきのこ栽培を始めたことをきっかけに、師の近くに移住し、15年前に農場経営を始めたそう。
キノコ栽培だけでよく15年間やってこられたとおっしゃいますが、菌床玉を自前で作る建物も建設中で、内容の充実と規模拡大を目指しています。さらに、今年10月5日には金・土曜日だけ開くキノコ専門直売店がオープンします。旧甲州街道沿いの古い蔵。山梨県北杜市白州白須127。Facebook白州山の水農場通信。

水谷ご夫妻は、人生の航路の舵を大きく切り、都会育ちの奥さまも良き協力者として共に15年、まさに今、階段を一段あがろうとしていらっしゃる時期にお目にかかりました。八ヶ岳南麓でも、親の跡を継ぐのではなく、農業を一生の仕事として選ぶ若者が増えているような気がします。応援したいと思います。

<番外編>山梨県白州のきのこ農場を訪ねる
(2018/10 よこやまゆうこ)

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