長引く梅雨空に塞がれた八ヶ岳南麓に、くすんだ気分を一転させてくれるさくらんぼ果樹園「岩原果樹園」を訪れました。中央高速須玉インターから国道141号線をゆくと、清里萌木の村手前を右折、ほどなく畑のなかに、背の高いビニールハウスが見えてきます。
近づくにつれて目に入るのはパーキング場の大型バス。一台から40名ほどのさくらんぼ狩りを楽しむ人々がどっとビニールハウスにくり込みます。さくらんぼの収穫期間は6月半ばから7月半ばの一ヶ月ほど、その間に1万人の入場者があるそうですから驚きです。何と!食べ放題のコースもあります。
岩原果樹園は岩原夫妻が20年ほど前に標高1000mのこの地にさくらんぼの木を育て始めまたことから始まりました。今では、一抱えもある太い幹の樹々が何本も立ち並んでいます。さくらんぼの生る木は、すべて山桜に接木して育てたもの。樹形は生育と収穫に好都合なように左右に思いっきり長く枝を伸ばして育てられます。接木の台木に山桜が選ばれるのはソメイヨシノなどに比べて環境や病気に強いからだそう。若木は背が高くなりすぎないよう天辺の枝を伐り、左右に枝を広げるよう剪定と矯正を繰り返し、伸びてきた枝は天井からワイアーで支え、どの枝にもまんべんなく日光が当たるようにします。冬期は暖房を入れ、時には天井のビニールを巻き上げ雨水を落とし、風通しにも細心の注意が必要とのこと。収穫期はたった一ヶ月ほどですが、他の月日は、草むしりや施肥、剪定、5月の開花時期には人力による交配、そして沢山実がつきすぎて小粒になることを避けるための摘果。時期ごとにさまざまな世話をして育てます。そしてこちらでは有機肥料と、厳しい基準よりもさらに低い低農薬を守っているそうです。
さくらんぼと言えば、形と言い大きさと言い色艶と言い、可愛らしさの代表のような果実と思っていましたが、こちらでは五百円硬貨と並べても見劣りしない大粒かつ糖度の高い粒もあります。銀座あたりの高級果物店でも見かけないような立派さです。
岩原さんのお話では、ここで収穫されたさくらんぼは、消費地のスーパーや地元市場に卸すことはせず、来訪者とネット販売だけに限っており、直接消費者に届けることを心掛けているとのこと。販売所では女性たちが一粒ごとのグラム数を計りながらの選別、箱詰め、発送作業など、おのおのの作業に大忙し。ただいま最盛期の真っ只中でした。総勢20名ほどのスタッフの熱い夏はもうしばらく続きそうです。
岩原果樹園:
http://www.sakuranbogari.jp
山梨県北杜市高根町堤669-2
tel/fax 0551-46-2067
(2019/7 よこやまゆうこ)
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