秋園さんの最大の特長は『工夫』が大好きということ。制約があればあるほど挑戦の楽しみがあり、達成感を感じるのだそう。繰り返し同じものを作らないというヒラメキ型でもあります。さらに、青年時代に磨いた洋裁の腕で、イメージ通りのものを自分で作ってしまえるのですから、洋裁師に意図を伝えるもどかしさもありません。しかも、素人離れした丁寧できれいな仕上がりなのですから驚きます。
工夫はデザインにも生かされます。普通のジーンズと見えるパンツはジッパーで開き反転すると、タータンチェックの短パンに、ニットカーディガンは袖を取るとチョッキとレッグカバーに。写真のベストは色違いのバイヤス布を重ねて織ったリバーシブル。
さて、男35歳独身、これからどう展開していくか。今回の日本クラフト展での入選を期に、珍しい技法や作品が、彼の望み通り、日常に身につけてもらえるといいですね。案外、アメリカなどのArt to Wareのコンセプトに合致するかもしれません。
(2020/1 よこやまゆうこ)
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