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<番外編>『中村キース・ヘリング美術館 15周年記念展:混沌と希望』
     キース・ヘリング(Keith Haring)という画家をご存知でしょうか。80年代のアメリカを代表する芸術家の一人です。NYの地下鉄の広告版に紙を貼って絵を描き始め、ストリートアートの先駆者といわれています。今をときめくバンクシーの先駆けともいえるでしょう。1990年、31歳の若さでAIDSで亡くなりました。アンディ・ウオーホールがメンターとなっていたと言われています。
     美術館は山梨県小淵沢町に15年前に開館。今回の展示では、コレクターで館長の中村和男氏が蒐集した絵画、立体など500点あまりの中から150点が展示されています。北河原 温氏設計による特徴的な建物に、キースの芸術と渾然一体になった内装やレイアウトも興味深いものになっています。
    ガラスのドアを押して中へ入ると受付。入場料の中に必ずある「高齢者」の提示はなく、逆に子供の価格が提示されていることに気づきます。会場入口に進むと、足元が不安になるほど暗く、頭上にカラフルなネオンが灯された細いスロープを辿ります。外の明るさから暗闇に吸い込まれ、このアプローチにより現実を忘れ、一気にキースの世界に誘われてゆきます。
    展示は『最終章』から始まります。ビート・ジェネレーションの作家ウイリアム・S ・バロウズとの共作シリーズ。世界の終末を意味する「アポカリプス(黙示録)」の混沌とした世界が文章と絵で示され、”苦悩と葛藤から生まれた明るさ”が印象的な一連の作品群が続きます。
    彼は社会活動にも熱心で、AIDS撲滅活動や恵まれない子供たちへの支援活動を積極的に行っていました。特に貧困の子供が立ち寄れるショップをとの目的で、1985年、アートをグッズ化して販売する「ポップショップ」を展開しました。ある時期、東京港区のキラー通りの一角に、壁にカラフルな絵が描かれた小さなショップがあったのをよく覚えています。
    また、彼の芸術はアメリカのみならず、ヨーロッパでもそのメッセージ性の強さが高く評価され、ドイツでは、ベルリンの壁の東西を分ける検問所の壁に絵を描き、イタリア、ピサ中央駅近くの教会の壁画も手がけています。彼の絵の描き方は独特で、数十メートルの壁面を、下書きもなく一気に埋め尽くしてゆくのが常だったといいます。人種偏見やLGBTなどのテーマと大胆に取り組み、即興的でエネルギッシュ、明るくカラフルな表現から、強いメッセージがストレートに伝わる作品群を生み出しました。
    余談ながら、当時のアメリカ、特にNYではAIDSが流行し、治療方法もないまま若者たちの行動に大きな影響を与えていました。医師の診断書を見せ合ってからデートするという。
(写真は全て、許可を得てiphoneで撮影したものです)
中村キース・ヘリング美術館
山梨県北杜市小淵沢町10249-7
0551-36-8712
この展覧会は2023年5月7日まで開催されます。
https://www.nakamura-haring.com

(2022/7 よこやまゆうこ)

(C)Copyright 2004 Jomon-sha Inc, All rights reserved.

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