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<番外編>『特別レポート 能登半島地震体験レポート 4  芝山佳範』
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【7回目】
     5月16日。2時間で輪島に到着。聞きたいことがあったので輪島市役所へ。市役所前で偶然、義援金を渡しに来られていた金沢の先輩と知り合いの茨城県のお坊さんと出会いました。入口では蒔絵師さんに偶然に会い、少し立ち話。元気そうでよかった。
     その足で輪島市商工業課へ。かつての上司が課長になられていました。少し話をして、沈金業組合の副組合長にお話を聞きに行きました。組合員は全員無事とのこと。沈金業組合員は現在40人。50代が3人、40代2人、30代8人、あとは70代前後の親方クラス。若手は県外出身者が多く、今は実家に帰っているそうで少人数。組合に所属していない方もいます。ここから珠洲に向かいました。
     5月17日。珠洲で1泊し、珠洲の支援用の写真を撮る予定でしたが、午前中は薄曇、翌日は天気が良さそうだったので1時間半かけて輪島へ。先輩の箸屋さんを訪ねたところ、昔の先輩が箸の注文に来られていました。どうやら販売の方は動いているようです。
     改めて2月に撮った写真と同じ場所で撮りました。道が通りやすくなったくらいで何も変わっていませんが、瓦礫が取り除かれ、少し空き地が見えるようになってきました。
     昼食は伸福へ。海鮮丼を注文。まわりを見ていると支援に来られている人や、地元の人、久しぶりに食べに来た輪島市外の人々など、店の前に行列ができていました。現在では、輪島市内の飲食店は50店ほどがオープンしているそうです。
     店を出て市内の様子を見ながら歩いていたら、通りすぎた車がバックで戻ってきました。誰?と思って車を覗いたら金沢の叔母さんと従兄弟でした。同じく輪島の様子を見に来たそうです。
     工房長屋での打ち合わせ。金沢で出張体験できるように準備進めています。少しでも輪島に貢献できればと企画を立ています。長屋も市役所も、手伝えることがあればがんばります。
     5月18日。雲ひとつない快晴。支援用の写真を撮りに須須神社奥宮へ。以前から気になっていたので行ってみました。くねくねした山道を歩きやっと到着。朝から腰が痛かったのですが頑張りました。次にランプの宿、狼煙の灯台(禄剛崎)、ゴジラ岩。建物や崖は崩れたままですが、道は少しづつ整備されてきています。典座で昼食をとり、見附島(軍艦島)、能登町(地震以来初めての能登町海岸線)、恋路海岸、イカの駅つくモールの写真を撮り、能登町の町へくりだしました。
     地震以来初めての能登町。よく行っていたビストロ与七。津波の被害で営業していないと聞いていたのですが、前を通ったらオープンしていました。さいわいマスターも元気で、4月15日から営業開始したそうです。新たに肉のサンドと魚のサンドのテイクアウトも始めて、少しずつお客さんも戻ってきているようです。珠洲からのお客さんが多いそうですが、地元を離れる方も多く、2、3年様子を見るそうです。僕には再開していたことが何よりも嬉しいです。肉のサンドイッチをテイクアウトしました。ジューシーで美味しかったです。約3時間かけて金沢へ帰ります。
    地震発生以来、以上が芝山が現場に通い行ってやってきたことです。近々の現状はというと、2月14日以来、瓦礫はそのままで、なにも変わっていません。仮設住宅があっても仕事場がなければ帰っても仕方がない、と仮設に入らずにいる作り手もいましたが、その後、輪島の仮設工房に入れることになり戻ったそうです。
    また、ある方は山の上に住宅があり、その回りの全域が避難地区になり建てかえもできず、輪島に土地を探そうとするものの、輪島は山と海に挟まれた地区なので土地が少なく、手に入る土地がなく、この方は金沢にいるか輪島に戻るか、いまだに悩んでおられました。
    飲食店は少しづつ開店していますが、港の船は隆起で漁に出られず、観光施設は旅行者が少ないので、売り上げが上がらずにいます。輪島塗は今は売れていますが、製作していかないと職人は仕事がなく辞めてゆかざるを得ません。多くの方がクラウドファンディングをしていますが、お客さんがついている塗師屋さんや作家さんはいいですが、無名の職人さんたちはクラウドファンディングを立ち上げても、直接お客さんを知らない方が多く、よほど特徴がなければ支援してくれないと思われます。できればそういう職人さんたちの声を拾って生かせればと思っています。また家が火事にあったり壊れたりしてパソコンを失い、補助金申請など全てを携帯の画面でされている方もいるので、芝山の知り合いのデザイナーたちと組んで、補助金申請のお手伝いをして、ゆくゆくは組んだデザイナーさんとDM製作や商品開発に繋がればいいなと思っています。輪島の家から金沢のアパートに移り、手狭になり芸術関係の本など不必要になったものを後輩たちに安くか、無料で渡せる場なども設けていきたいと思っています。
    職人さんたちは住宅と仕事場がないと輪島に戻れず、まずは場所作りで、次は仕事を持ってくることが急がれる事案であると思っています。まだまだ瓦礫はそのままで、これからですが、皆さまには2024年1月1日16時10分に能登半島で地震があったことを忘れず、今後ともサポートしていただきたいです。ありがとうございました。
(2024/7 よこやまゆうこ)

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