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<番外編>『八ヶ岳南麓 美味しいとこ、あります』
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    「Blowin’ in the Wind」(風に吹かれて)は、1963年に リリースされたボブ・ディランの大ヒット曲。1960年代のアメリカ公民権運動の賛歌とも言われています。
    “シンプルで力強い旋律と和音進行を持つメッセージ・ソング”と言われ、”「どれだけの砲弾を発射すれば、武器を永久に廃絶する気になるのか」「為政者たちは、いつになったら人々に自由を与えるのか」「人は何度顔を背け、見ていないふりなどできるのか」「一人一人にいくつの耳をつければ、他人の泣き声が聞こえるようになるのだろうか」「人はどれだけの死人を見れば、これは死に過ぎだと気づくのか」というプロテスト・ソング風の問いかけと、「男はどれだけの道を歩けば、一人前と認められるのか」「山が海に流されてなくなってしまうのに、どのくらいの時間がかかるのか」という抽象的な問いかけが交互に繰り返されたあと、「答えは風に吹かれている」というリフレインで締めくくられる。この曖昧さが自由な解釈を可能にしており、従来のフォークファンばかりでなく、既成の社会構造に不満を持つ人々に広く受け入れられることになった。”とウィキペディアにあります。60年代と言わず、まさに今の今にフィットする歌詞ではありませんか。
    前おきが長くなりましたが、この”Blowin’ in the Wind”を店名にした鰻店が、緑深い清里の谷にあります。
    うねうねとした道をぐんぐん下っていくと、その建物はあります。もとは蕎麦店だったとか。赤松が聳え、丈の長い山百合が今を盛りと咲いていました。
    店のHPには 鰻・ロック喫茶・レコード とあり、店内にはCDではなくレコードの音が流れています。
    肝心の鰻! まず、白木の箱に蒲焼という組み合わせが目を惹きます。白州にあるウイスキー蒸溜所で使われていた樽の木から作ったものとか。肝心の鰻。硬すぎず柔らかすぎず、さらりとしたタレのお味もよく文句なし。”今日の鰻はどこそこからの、比較的若い鰻です”などと告げてくれ、ご飯も”今日のお米はどこそこのお米です”と、有名な米の産地ではないこだわりの米農家からのものであることがさらりと告げられます。
    まさに、谷から吹き上げてくる風に吹かれて、心地よい満腹感に満たされて店を後にします。お勧めです。
https://blowin-in-the-wind.jp/
    さて、もう一軒の美味しいところは、『晴』。はると読ませます。今年の4月にオープンしたばかり。8席のカウンターのみの本格派新和風といったところ。オーナーシェフは地元清里出身。東京などで武者修行ののち、満を持して産土の地に出店。真新しい白木のカウンター、大きくとった窓からの緑、一人で取り仕切るに効率的な設備など、調和が取れた清潔感ある快適な空間です。
    ナビに導かれて旗印のところを探せど、それらしき看板もなく、道さえない。行ったり来たり周辺を走り回り、地元の人にも尋ねずいぶん苦労して見つけた店は、28号線から少し奥まったところに建つ新しい建物。そこを左折と、あたかも道があるように示したナビを大いに恨めしく、、、。
    先付けのカブはふくよかに焚かれ、お刺身は鰹とさっと炙った貝柱。ジュレがかかってほどよく甘い。蓮根の挟み揚げは飛魚と大葉、お椀はきんきにオクラのとろみつけ。煮物はすっぽんと野菜(但し、すっぽんは少量)の卵とじ。炭火がぼっと炎をあげるほど脂を落としているのは金目鯛。冬の魚と言われていますが、6、7月も脂がのって実に上品で力のある金目鯛でした。先ほどから微かな湯気を出しているのは土鍋で炊かれている炊き込みご飯。程よく味を染ませた秋刀魚。今年は夏場の秋刀魚も捨てたものではないようです。玉ねぎの小片もご飯にほんのり滋味を加えているらしく、白胡麻の香と相まって、お代わりしたいほど。でも、もう満腹!残った炊き込みご飯はおにぎりにしてくれました。
    昼夜同じメニュー。秋に向け、旬の野菜や魚を取り入れて若き料理人は存分に腕をふるわれることでしょう。今のところ、看板も出さない、HPもface bookも何も出さないそうです。(晴 070-8536-1105 )
    この夏気づいたことは、南麓にこだわりのお食事処が増えてきたこと。土地の人だけでなく、旅行者も豊富な情報の中から上手に見つけることが定着したのでしょう。
    まだ未体験ですが、http://esaki-yatsugatake.com/こんなところもあります。清らかな風、深い緑の中、確実に喜んでもらえる料理を少人数に、が南麓流でしょうか。
(2024/8 よこやまゆうこ)

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