30年余年の工芸好きの果てに、手元には、さまざまな手作りの品が残りました。本心としては手放したくないのです。ときどき箱から出して、眺めたり掌で包んでみたり、そしてまた大切にしまい直して、、。でも、もう逡巡してはいられない待ったなしの断捨離年齢となりました。はて、どうしたものか、とずっと考えあぐねてきました。
はたして、私がしようとしていることは断捨離なのでしょうか。「断捨離」とは、「断」=入ってくる不要なモノを断つ、「捨」=不要なモノを捨てる、「離」=モノへの執着から離れる、といわれているようですが、3つの中で全く当たっていないのは、不要なものを捨てる、です。不要だから捨てるのではなく、大好きなものだから、好きになってくださる方にバトンタッチしたい、なのです。欲しいとおっしゃる方の手に渡ることが、その品々にとって最も幸せな行き場になるだろうと思いました。
その道に詳しい方々のアドバイスをいただいたところ、やはり「ヤフオク」に出すのがベストだろうと。ほとんど覗いたことのないオークションサイト。でも、ちょっと違う気がします。品物についての私の知る限りの素材や技法の説明やら、日本と海外を旅したとき私の手元にやってくることになったストーリーを知っていただきたい、と思いました。
そこで、2000年からスタートして細々ながら今まで続けてきたこのhandmadejapanで、いつ頃、どこで、どのようにして品々と出会ったのか、また、作り手のこと、こんなことあんなこと、思い出すまま、人とものとの物語をお伝えしたいと思います。
欲しいと思った時が買う時、という言葉を耳にします。それができれば苦労はない。でも、身分不相応であっても手元に置こう!と決心するには、どうしてもそうしてしまうわけがある、と勝手に納得して、私の手元に集まってきたものたちばかり。名のある芸術家の作品は例外的で、無名の作り手の習熟の技から生み出された古今東西の日常品がほとんどです。
工芸品の魅力を画面で伝えるのは容易いことではありません。手触りや本当の色、重さ、その物が醸し出す雰囲気など、伝えきれないもどかしさがあります。上から裏から横から、部分のアップ、作家のサインなどなど、方々の角度から写真を撮ります。iphoneで撮影してパソコンに入れて修正と調整。私の持てるかぎりのテクを駆使して、実物にもっとも近い画像で紹介できるよう頑張る所存です。
1番の難題は価格をつけることです。求めた時の値段を覚えていないものもあり、ヤフオクで同じ作家のものを探して参考にしたり、現役の作家さんには直接相談させていただきました。亡くなられた作家さんのものは奥様や後継者の息子さんに伺ったりもして決めています。
2月からスタートし、月に1、2点をご紹介してゆきたいと思います。ご興味を持っていただけたらお気軽にご連絡ください。手作りの品々がお好きな方と出会い使っていただければ、それは私の望外の喜びとなるでしょう。
(2025/1 よこやまゆうこ)
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