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side story #464でお知らせした断捨離シリーズその1です。
25年ほども前のこと、所用で出かけたフロリダ州マイアミで、骨董市に行きあたりました。ヨーロッパの骨董を中心に、良質のうつわ類が中心の市でした。世界中から気候の良さに惹かれてフロリダ半島に移り住んだ富裕引退者層を狙った骨董市だったのかもしれません。そこで出会ったのが、このイタリア・ムラーノ島で作られたと思われるヴェネチアン・グラスの皿。ベネチアン・グラスは紀元前のシリアを発祥起源とし、13,4世紀に花開いたとされるイタリアの誇るガラス工芸です。
直径20cmという使いやすいサイズ、手作りの暖かさをたたえたガラス皿に、一目で魅了されました。「レースグラス技法」と呼ばれる白い線が細かく交わりあい、金をあしらった上品で華やかなレースのような皿。一目で腕の良い職人の手になるものとわかりました。型抜きの器と違う微妙な不揃い感が、手捻りの陶器のような暖かさ。これなら、陶磁器や漆の器と組み合わせて、卓上に華やかな雰囲気をかもしだすことができそうに思いました。
以前、ムラーノ島を訪ねたとき、当地でただ1人ムラーノの職人にデザインを出せる日本人ガラス・デザイナー大平洋一氏に案内していただき、吹きガラスの工房を見学させてもらったことがありました。歴史を感じさせる工房では、体格の良い職人たちが、使い込まれた昔からの道具を用い、さまざまなアイテムを作っていました。店頭には観光客でも気軽に求められる小物、店の奥にはベルサイユ宮殿の高い天井から下げられているような目も眩むばかりのシャンデリアなどの高価な品々が展示されていました。
さて、この皿には何を盛ったらいいのでしょう。夏の八寸などの冷菜や、緑鮮やかなサラダやもちろん冷果。前もって冷凍庫で冷やされた皿の表面には細かな雫が涼しげに。
ブースの前でそんなことを想像しているうちに、1万キロ以上離れた旅先であることも忘れ、あるだけの枚数を求めてしまいました。苦労はそのあと。スーツケースにタオルを詰めて1枚も割ることなく持ち帰ることができたのは実に幸運でした。
サイズ:
直径20cm、高さ3cm
枚数:
9枚
制作年度は不明
未使用
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(2025/2 よこやまゆうこ)
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