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桐山さんの竹篭
 

桐山さん写真

 

桐山浩実プロフィール

1963年 奈良に生まれる。現在大分県在住。
1993年 第35回日本民芸公募展優秀賞
1994年 日本民芸館展入選
1996年 全国工芸品展入選
1996年 第38回日本民芸公募展工業技術院長賞
1996年 日本民芸館展民芸協会賞
1996年 工芸きくち(熊本)にて個展
1997年 べにや民芸店(東京)にて個展
1998年 日向路工芸店 (宮崎)にて個展
1998年 阿蘇小国町ゆうステーションにて個展
1999年 九州の手仕事展(熊本県伝統工芸館)にて
     50点出品
1999年 暮らしに生きる手仕事展
     (日向路工芸店30周年展)出品
1999年 ギャラリー「風土記」(群馬)にて個展
1999年 喫茶ギャラリー「竹の子」(福岡)にて個展
1999年 日本民芸館展入選
2001年 朝日現代クラフト展 招待出品

 


 

 

竹を伐採するときの用具類:熊本県球磨地方で作られた鉈、新潟県三条市で作られた鋸、スエーデン製の皮手袋など
表皮をとり、磨いた竹に細い竹を打ち込んで半割にする
竹ひごを作る。怪我をしないよう細心の注意が必要
幅とり作業 2本の小刀の刃により一定の太さを得る

 

 

 

 

桐山浩実さんからのメッセージ

昔から暮らしの中で使われてきた道具には、その歴史と経験が作り出した形がある。その形や機能には、そうでなくてはならないという、がんとして譲らない理由、こだわりがある。いやあったという方がいいかもしれない。そして今、永い時間と知恵が作り出した道具は、便利で安い大量生産のものに、その存在の意味を消されつつある。

「もの」の意味は、人間の感性や慎ましい暮らしを一瞬にして変えてしまい、さらに経済性の追求が、単純に時間の流れを加速させ、本来の価値観を無意味にしてしまう。暮らしの中の道具の一つを担う竹篭作りを生業としていて、今の世の中の流れにそったものと、昔から暮らしをそっと支えてきた民具としての竹篭の間の、大きく深い時間と、意味の隔たりに思いを巡らす日々。

竹の皮や竹篭は、食べ物を雑菌から守り、保存させるという妙なる性質を持つ。飯篭といわれるものは、ごはんを入れ風通しのよい所に掛けておくと、ごはんが腐らず長持ちする。

「いりこ篭」と呼ばれる篭は、山の民がカルシウム源としての海のもの、魚やいりこなどを入れ、吊るしておき長期保存しておくための篭である。確実に暮らしの中に存在理由があったのだ。そのいりこ篭という、用も美もまさしく兼ね備えた、圧倒的な竹篭を作った。
山村で竹篭を編み続ける翁の作り出した、歴史を知る竹篭を手本として。迷いの気持ちでいると、かるく跳ね返された。それの持つ意味の重さが、そう簡単にはわたしを寄せつけない。技術が作り出すのではなく、心が、願いが作り出すのだ。もちろん、その篭が本来のその役割を果たすかといえば、まず否と言っていい。しかし作る意味はある。作り続ける役割がある。たとえそれが整理篭や花篭として使われるとしても、いりこ篭を作る意味があるのだ。跳ね返され挫折し、その形に歴史を彷徨う。ただ形として、しかしながら、なんとか形としてできあがったいりこ篭。その山村の師にその意味を、形を問い、形となったいりこ篭の意味を問い、その意味は遠く近く後ろからわたしを追いこし、この篭に心を入れてくれた。

民具としての本質的な竹篭作りは、続けてゆく絶対的な意味があるのだ。


次ページには、「桐山さん竹篭」の使用例を写真集にしてあります。ぜひ、ご覧ください。

 


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