彼女の案内で知念村にある斎場御嶽(セイファウタキ)、神の島久高島の見える浜を巡った。御嶽とは神々が下ってくる聖地のことで、斎場御嶽は数あるウタキのなかでも最高の聖地とされている。うっそうと茂る木々の下には、木の根がびっしり貼りついた大岩があり、その日もユタを頼んで家族のことを祈る女性たちの姿が見えた。ユタはノロよりも庶民的というか、日々の個人的な頼みごとを占ったり祈ったりしてくれる存在だそう。神秘的な雰囲気が強く、気に敏感な人ならきっと何かを感じる場なのだろう。生憎、私は何も感じることなく、神妙にしてその場を辞したのだった。
那覇へ向かう途中、南蛮焼の一の宮 侑さんの工房を訪ねた。沖縄の土は赤かったり、お抹茶色だったり、白っぽかったりと、実に色の出が豊かだ。一の宮さんは、ここと見定めて土地を求め、家族3人で開墾し、家を建て、今は庭の手入れに余念がない。そのかいあって、四阿から見晴らす景色は絶景。海上の灰色の雲から雨が下がり、雨のかたまりがこちらへ向けて動いてくる。ざーーときてくれればと願った雨は途中で消えてしまい、この日も“ぶちくん”だった。でも、ここもまた、天国に近い地である。旅人は沖縄の重い歴史に想いをめぐらすのだけれど、すぐに目の前の太陽と海と心優しい人たちのいるこの地を、天国に近いなどといってしまう。
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