鬼無里村は人口2000人ほど。小さな村にすむということは、地元のビューロクラシーにも関わりを持たざるを得ない。村人や子供たちに善かれと思うことを提案すると、即、じゃ、大出さん、やってください、と任される。教育委員会の依頼で7年間子供たちに水泳を教えたこともある。ある年、村長選挙立候補説明会というのをちょっと覗いてみたら、現村長の対抗者として出席したのは彼一人。村長陣営から"出るのか!?"と問いつめられたという。尾瀬よりもすばらしい水芭蕉の自生地があるという村なら、上手に村おこしもできそうな気がするのだが、今のところ、大出さんは自然相手の暮らしがぞっこん気に入っているようだ。
(2002/8 よこやまゆうこ)
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