見知らぬ人にカメラを向けるのは苦手だ。ちょっと勇気がいる。でも、つい撮りたくなるほど、プロヴァンスの人々は魅力的だ。抱き合っている若者、独りカフェで新聞を読む婦人、身ぶり豊かに携帯電話に集中している女性、これからどこへ行こうか、と額をよせる放課後の学生たち、校庭で遊ぶ園児たちからも目が離せない。
自分の生活を大切にし、高望みをせず、人真似もしない。じっくり腰を落ちつけて暮らしている人々だ。昔パリに住んでいたとか、時々はパリに行く、といったことを耳にするほど、パリはフランスのなかでも特別のところで、どうやら、魅力はあるけれども住みたくはない、というところらしい。プロヴァンスに家があり、家族がいて仕事がある。そして、たまにパリに出る。これこそ最高に優雅な暮らしぶりなのだろう。
(撮影/文:よこやまゆうこ)
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