手入れの行き届いた上原さんの庭には、染料になる植物がたくさん植えられています。沖縄の太陽が成長を促し、一年中青々とした葉をつけることも、染めの仕事には好都合です。お庭の、月桃(げっとう)、柘榴(ざくろ)、クロ木などが美しい色として布を染める日を待っているかのようです。前日、石垣島から持ち帰った珍しい植物の苗たちも、庭に植えてもらうのを待って雨に濡れていました。近い将来、上原さんはこの植物たちからも美しい色を取り出して、絹の布に移しかえるのでしょう。
今回の沖縄旅行で印象的だったことのひとつは、一見、やっかいな雑草と思っていた身近な植物が、油炒めすると思いもかけない美味な一品になったり、柔らかな葉や芽はフレッシュなハーブサラダになったことでした。地元の人は良く知っていて、これも食べられます、この草も美味しいです、と教えてくれるのです。早採りのへちまも、炒めるとちょっとぬるぬる感があって、ゴーヤともズッキーニとも違う食感がありました。都会のスーパーマーケットに並んでいる野菜だけの食卓が、代わりばえのしないものに思えてしまったのでした。食材しかり、染めの色しかり。今回の旅では、"植物はすごい!"を納得しました。
(2004/4/26 よこやまゆうこ)
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