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『角 偉三郎美術館』オープンのお知らせ


Side Story 048の書籍出版でご案内した角 偉三郎さんの美術館が出現しました。このニュースをいち早くお知らせしたく、2005年9月28日、待ちに待ったオープニングの日、石川県七尾市和倉町を訪ねました。
和倉温泉といえば加賀屋。その加賀屋が隣接の地に建てたマンションの1、2階が美術館です。

七尾湾の穏やかな海が手にふれるほど近くにある立地を生かした空間には、輪島塗という重い伝統の産地にありながら、独自の道を切り拓いた角さんの世界がありました。
今まさに海に向って飛びたとうとするUFOのようなへぎ板の円盤『のと星』に向うと、一瞬、言葉を呑み込み、そして、心の底からわくわくするような感情に浸されます。へぎ板45枚を重ねおいた『横たわる森』、朱の椀が空中を飛んでいる『リング』、椀を乾燥させるときに乗せる板を楽譜の線に見立てた『楽譜にのる椀』など、詩的なタイトルも楽しませてくれます。

 
    角 偉三郎さんは、下地職人の父、蒔絵をする母をもち、沈金と呼ばれる伝統技法を学びました。1962年、22歳で第一回日本現代工芸美術展に入選。以来17回もの入選を果し工芸界の瞠目を集めました。しかし1978年の特選を最後にすべての公募展を退き、独自の道を模索しはじめました。輪島塗のルーツともいわれる旧柳田村の素朴な合鹿椀の美しさに打たれ、それを見せたときのバーナード・リーチのうなずきに大いに励まされた、と伺ったこともあります。木地師をはじめ、下塗り、中塗りをしてくれる輪島の職人さんたちの名前を展覧会に掲げられたことも新鮮でした。
前出の本『角 偉三郎の器・現在地』(瑞玉ギャラリー)をあらためて開き、ご自身の文章を読み返すと、角さんの匂いが立ち込めてきます。

漆という樹液とこよなく関わり、器というかたちをつくることに情熱を傾ける角ワールド。角 偉三郎美術館はこの秋、必見です。


(2005/10 よこやまゆうこ)
 
    角 偉三郎美術館
926-0175石川県七尾市和倉町ワ部65-1
tel:0767-62-4000 fax:0767-62-1011
入館料:大人600円(小学生以下無料)
開館時間:8:00〜17:00(入館16:30迄)

飛行機で、羽田〜能登空港 約1時間(一日2便)、
能登空港から和倉まで車で約50分
JRで、和倉温泉駅下車

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